留まろうとするものと移りゆくもの : インド,ヒマーチャル・ブラデッシュ州,ラホール渓谷のチベット系社会における家と家族

書誌事項

タイトル別名
  • The Household in Tibetan Society : A case study in Lahuli valley, Himachal Pradesh, India
  • 留まろうとするものと移りゆくもの--インド,ヒマーチャル・プラデッシュ州,ラホール渓谷のチベット系社会における家と家族
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説明

本論はインドのヒマーチャル・ブラデッシュ州,ラホール地方のチベット社会における家(キュム)と家族(ジンマ)の問題をとりあつかったものである。キュムは日本のイエに似て,現実の家屋を意味するものと同時にその永続性が前提された一種の法人的な存在であり,社会関係の結節点として固有の文化的価値を有する。一方ジンマは,一つのキュムに所属する,親族関係によって結ばれた人々を指す。キュムとジンマを巡る諸観念や慣習法の中には二つの潜在的に対立的な傾向,すなわちキュムを分割することなく維持しようとする傾向と,ジンマを構成する男性メンバーにキュムの範囲を逸脱した活動を許容する傾向が存在する。この潜在的対立関係は,典型的にはキュムの分裂といったディレンマ状況をもたらすこともあるが,同時にラホール社会の持つ適応性にもつながている。

収録刊行物

  • 民族學研究

    民族學研究 56 (2), 159-180, 1991

    日本文化人類学会

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