海盆の蒸発:蒸発岩の堆積学とメッシニアン期地中海塩分危機

  • 黒田 潤一郎
    独立行政法人海洋研究開発機構生物地球化学研究分野
  • 吉村 寿紘
    独立行政法人海洋研究開発機構生物地球化学研究分野
  • 川幡 穂高
    東京大学 大気海洋研究所
  • Francisco J. Jimenez-Espejo
    独立行政法人海洋研究開発機構生物地球化学研究分野
  • Stefano Lugli
    Dipartimento di Scienze della Terra, Universitá degli Studi di Modena e Reggio Emilia
  • Vinicio Manzi
    Dipartimento di Fisica e Scienze della Terra, Università di Parma, Parco Area delle Scienze
  • Marco Roveri
    Dipartimento di Fisica e Scienze della Terra, Università di Parma, Parco Area delle Scienze

書誌事項

タイトル別名
  • Evaporation of marine basins: a review of evaporite formation and Messinian Salinity Crisis
  • カイボン ノ ジョウハツ : ジョウハツガン ノ タイセキガク ト メッシニアンキ チチュウカイ エンブン キキ

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抄録

地中海は中新世の末期(5.97~5.33 Ma)に膨大な量の蒸発岩が形成されるイベントを経験した.これはメッシニアン期塩分危機と呼ばれる.これらの蒸発岩は十分に塩水が存在する状況で析出したのか,深海盆までが干上がったのか,未だ議論に決着がついていない.本論では,1)シチリア島の天日塩田で見られる蒸発鉱物(石膏・岩塩)の形成プロセスとその堆積構造と形成環境の関連を紹介し,2)シチリア島のメッシニアン期蒸発岩で提唱された塩分危機のシナリオを解説する.シチリア島のメッシニアン期蒸発岩類は浅海堆積相で晶出した初生的下部石膏ユニット,深海盆でこれが再堆積した砕屑性下部石膏ユニット,深海堆積相の厚い岩塩層,深海堆積相でこれらを覆う上部石膏ユニットに大別される.これらの蒸発岩類は5.33 Maに突如終焉し,広く鮮新世の半遠洋性石灰質堆積物に覆われる.

収録刊行物

  • 地質学雑誌

    地質学雑誌 120 (6), 181-200, 2014-06-15

    一般社団法人 日本地質学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (75)*注記

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