カキ果実のアルコールによる短期•大量脱渋の可能性

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タイトル別名
  • Large-scale Trials for the Short-term de-Astringency in Persimmon Fruits by Ethanol
  • カキ果実のアルコールによる短期・大量脱渋の可能性
  • カキ カジツ ノ アルコール ニ ヨル タンキ タイリョウ ダツジュウ ノ カ

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抄録

カキ果実を通気性のよいプラスチック製収穫箱に詰め, これを脱渋室内に積付けた後, 室内を30°C付近まで加温するとともにアルコールを散布する方法で, アルコールによる短期間で, しかも大量処理の脱渋が可能かどうか検討した.<br>1. 脱渋室は断熱構造にする必要があり, この際用いる断熱剤は厚さが25mmのポリウレタンフォームでも効果が高かった.<br>2. エタノール散布は, 脱渋室内にエタノール液を一定流速で送入し, これに大量の空気をあてて気化させる方法で行い, 送入エタノールの約80%が果実内に浸透した.<br>3. 果実の加温は, 表面温度が200°C以下のヒーターと送入ファンを組み合わせた装置で行い, 加温開始後1日以内に果実温度が30°C付近に達した. 脱渋による汚損果の発生を少なくするには, 箱の積付け位置による果実の温度上昇速度の差を最小限にする必要があった.<br>4. 短期脱渋果の追熟促進にはエチレン処理が有効であり, これにより市場流通時には果肉が粘質で甘味を増し, 評価が高まった.<br>5. 試作した脱渋装置を用いてアルコール及びエチレン送入による3日間の短期脱渋を行った後, 選果•箱詰を行ってから市場に出荷した. 短期脱渋果は, 慣行法で約2週間をかけて脱渋した果実に比べて, 品質の差がほとんど認められなかった.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 56 (1), 92-100, 1987

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (1)*注記

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