温州ミカンの選果荷造過程における損傷要因と損傷防止に関する研究 (第1報)

書誌事項

タイトル別名
  • Factors Causing Mechanical Injuries of Satsuma Mandarin Fruit in the Line Processes of Packinghouse and Preventive Measures
  • 温州ミカンの選果荷造過程における損傷要因と損傷防止に関する研究-1-外力による果実組織の破壊様相と選果荷造工程における果皮の損傷
  • ウンシュウ ミカン ノ センカ ニズクリ カテイ ニ オケル ソンショウ ヨウ
  • I. Peel Rupture and Breakdown of Juice Sacs
  • 外力による果実組織の破壊様相と選果荷造工程における果皮の損傷

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抄録

本報告は, 温州ミカンの選果荷造処理による品質低下の起因となる果実の機械的傷害とその発生要因に関して行なった実験結果を取りまとめたものである.<br>1) 温州ミカン果実に10kgの準静的荷重を加えると, 外観的には, まず, 果皮の油胞の破壊, 次いで果皮の裂損を生じる. また, 果実内部ではじょうのうの分離じょうのう膜の裂損, 砂じょう破壊が起こり, じょうのう内に果汁が溢出するようになる.<br>2) M級果実に対して10kg以上の準静的荷重で果皮の裂損を生じ, 8kg以上でじょうのうの裂損, 4kg 以上で砂じょうの破壊が起こる. また荷重を掛けながらの転がし処理では2kgの荷重でも砂じょうの破壊がみられた.<br>3) じょうのう内に益出した果汁量の測定は, 注意深くじょうのうをはがし, ろ紙上において指先で軽く押さえ, 益出した果汁をろ紙に吸収させて秤量することができる. また砂じょうの破壊量は, じょうのう内の益出果汁量によって近似的に堆定できることを見出した.<br>4) 選果荷造工程における果実の損傷要因を追究するため, 工程内における果実の挙動追跡, 果実にかかる負荷, 果皮の損傷を調査した. その結果, 果実に損傷を与える主な工程は, ミックスボックス工程, 洗浄, ワックス処理工程, 階級選別工程, 箱詰め, 封かん並びに堆積の過程であり, 損傷要因は, 果実の落下衝撃, 圧縮, あるいはブラッシングによる果皮の摩擦などが主であることを認めた.<br>5) 果実の損傷発生について, 果実の予措乾燥程度など果実側の条件からも検討したところ, 落下処理による果皮の損傷は予措乾燥によって軽減されたが, 選果工程処理ではその効果は認められなかった.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 48 (2), 231-241, 1979

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (4)*注記

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