放射線肺炎の臨床的検討

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タイトル別名
  • Clinical Studies of Radiation Pneumonitis
  • ホウシャセン ハイエン ノ リンショウテキ ケントウ

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説明

過去11年間に, Linacによる放射線治療で肺が照射野に含まれた症例は約1000例であるが, 胸部X-Pにて放射線肺炎の発生の有無を追跡できた症例は176例で, 80例(男46例, 女34例)に肺炎の発生をみたが, このうち59例は無症状であつた. 疾患別発生率は肺癌:71.4%, 乳癌術後:10%, 食道癌:15.8%であつた. 年令別では50才以下に発生率が一番高かつた. 照射線量, 期間, 照射野の大きさの3者は特に肺癌では密接な関係があつた. 照射終了2~5ヵ月後発症が61.5%を占め, 線量が多い程, 早期発症の傾向であつた. 肺炎の程度はFiebelkornのII度までであつた. 経過中, 胸水貯留をみた症例の良性悪性の鑑別には, 胸水の細胞診よりもCEAの検索が有用であつた. 治療として, 急性期にはステロイドが, 二次感染には抗生剤が, 予防には消炎剤の投与が有効であつた. 最高の予防は, 病巣に限局してbeamを照射し, 健康肺の容積線量をできるだけ少なくすることである.

収録刊行物

  • 医療

    医療 35 (9), 809-814, 1981

    一般社団法人 国立医療学会

被引用文献 (2)*注記

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