がん化学療法の標準化とチーム医療

  • 田村 研治
    国立がんセンター中央病院 通院治療センター

書誌事項

タイトル別名
  • Chemotherapy as Outpatient and Teamwork for its Management
  • ガン カガク リョウホウ ノ ヒョウジュンカ ト チーム イリョウ

この論文をさがす

説明

外来がん化学療法は急速に普及している. がん患者の生活の質;quality of life (QOL)を維持しながら, 生活の中にがん治療を取り込むことは, 外来化学療法の重要な目的の一つである. 外来化学療法の普及の理由の一つには化学療法そのものめ発展がある. 副作用の少ない有効な抗がん剤の出現, 支持療法の開発, マネージメント能力の向上などである. また, 「外来化学療法加算」など, 医療経済的な要因も, 外来化学療法普及の流れを後押ししている. 現在, 「がん対策基本法」が成立し, 地域がん拠点病院を中心に外来化学療法の整備が進められつつある. 米国と比較するとわが国における外来化学療法の歴史は浅い. 米国ではがん薬物療法のシステムがより早く整備されたこと, 保険制度の差により高額医療の問題が生じやすいことなどにより, 他国に先んじて外来化学療法が導入された. 一方, わが国と米国では, 医療制度, 生活スタイル, 文化, 倫理感が異なる. さらに, がんの治療体系そのものも日々変化している. わが国における「外来化学療法」の固定されたモデルは成熟していない. われわれは, 刻々と変化するがん薬物療法のエビデンスをしっかり捕らえながら, わが国における基本的なスタイル, あるいは, 各医療施設の規模や地域医療に適したスタイルを形成していく必要がある. 外来化学療法に求められる基本事項には, 1) 治療として意義のあること(Evidence Based Medicine: EBMの実践)2) 効率的であり同時に安全なものであること, 3) 患者さんのQOLの向上を後押しするものであることである. 実現のためには, 1) 環境整備, 2) チーム医療, 委員会, 3) レジメンの承認・登録, 4) オーダリングシステム, 5) 注射混合調製, 6) インフォームドコンセント・共通診療録, 教育, 7) リスクマネージメントなどの改革が必要である. なかでも, 多職種によるチーム医療の実践が必要である.

収録刊行物

  • 医療

    医療 62 (11), 600-603, 2008

    一般社団法人 国立医療学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ