喉頭摘出術―言語聴覚士の立場から―

  • 白坂 康俊
    国立身体障害者リハビリテーションセンター

書誌事項

タイトル別名
  • Total Laryngectomy Problems and Solutions: From the Speech Pathologist
  • コウトウ テキシュツジュツ ゲンゴ チョウカクシ ノ タチバ カラ

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抄録

喉頭摘出者は, 発声不能となるため, 著しいコミュニケーションの制限を受ける. このため, リハビリテーションにおいては, コミュニケーションの制限によって生じる心理的な問題について配慮することが重要であるが, 必ずしも十分にはなされていない.<br>発声の代償手段には, 音声以外の手段を用いる方法(筆談やコミュニケーションボード-50音表-など)と代用音声である食道発声や人工喉頭を用いる方法がある. 人工喉頭には, 笛式喉頭と電気式喉頭の2種が存在する.<br>代償手段の選択にあたっては, 価格, 操作性, 使用時に要する体力, 習得の容易さなどの要因に, さらに, 代用音声の選択については, 母音子音の明瞭度, 音量, 音質, プロソデイなどに配慮する. また, 他人が代償機器や使用状態を見た時の印象(見栄え)についても, 気にする喉頭摘出者が少なくないことを念頭に置く必要がある.<br>いずれにしても, コミュニケーションの制限によっておこる問題と, 代償手段の特徴などについて, 十分な説明が, 術前になされることが望まれている.

収録刊行物

  • 医療

    医療 60 (6), 376-382, 2006

    一般社団法人 国立医療学会

被引用文献 (1)*注記

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