多発性硬化症の最近の話題―2008年―

  • 田中 正美
    国立病院機構宇多野病院関西脳神経筋センター

書誌事項

タイトル別名
  • Recent Advances in MS Research -2008-
  • タハツセイ コウカショウ ノ サイキン ノ ワダイ 2008ネン

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説明

古典型多発性硬化症:class (MS)の病態は, 免疫染色法の改良により細胞傷害性T細胞の関与がむしろ主体と考えられるようになった。2004年の全国調査では, 有病率が増加していること, 女性の比率がさらに増加していること, 視神経と脊髄に症状が限局しているがNeuromyelitis optica (NMO)とは異なる患者が増加していることなどが明らかとなった。また, アクアポリン4という水分子に対する抗体がNMOの血中で見いだされた。筆者らは, 宇多野病院で加療中の患者を対象に検討を行い, 抗体の存在と再発率との間に相関があることを見いだすとともに, NMOと視神経脊髄型多発性硬化症:Optic spinal MS (OSMS)とは同一ではないことを強調した。NMOの疾患の特徴が明らかとなり, 診断が容易となって, 治療がclassic MSとは異なることが証明されつつある。眼科領域では緑内障の診断に利用されている, 光干渉断層計:Optical coherence tomogrqaphy (OCT)が視神経炎の診断や視神経の軸索変性の評価に有用であることを紹介した。

収録刊行物

  • 医療

    医療 62 (10), 535-542, 2008

    一般社団法人 国立医療学会

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