加齢の病態とその臨床 II  病態の検討とその臨床像の特異性

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinicopathological Studies in Geriatrics (II)
  • カレイ ノ ビョウタイ ト ソノ リンショウ 2 ビョウタイ ノ ケントウ ト
  • ―病態の検討とその臨床像の特異性―

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抄録

老化の要因として生体内各臓器の構成細胞の減少と縮小による臓器の萎縮, 線維化があげられる. また最近, 老人の細胞は若年者の細胞に比して細胞の継代培養が短いことがいわれ, 特に老化の代表的疾患とされているWerner's syndromeではそのfibroblastの継代培養の短いことがわかつている.<br>我々が臨床的に見る疾患の中で, 生理的老化, Werner's syndromeと近似の臨床像を呈するものが少なくない. 例えば副腎皮質ホルモンの長期投与例, 甲状腺機能低下症, V. B12欠乏症, V. C欠乏症などであり, これらからホルモン, ビタミンの代謝異常が老化の大きな要因となり得るものと考えられる.<br>老人疾患の大部分は若年者に見るごとき定型的な臨床像を呈しないことが多く, 潜行性に病態が進行する. 心筋梗塞では胸痛が少なく, 糖尿病では自覚症のないことが多い. また, 肺炎, SLE甲状腺機能亢進症, 甲状腺機能低下症, 急性白血病などは特にその臨床像が若年者のそれに比べると, 定型的な病像を呈しないことからその診断は困難となり, 治療が遅れやすいことは注意を要すべきことである.

収録刊行物

  • 医療

    医療 35 (5), 414-421, 1981

    一般社団法人 国立医療学会

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