多変量解析による食料消費構造の研究(追補)  資料数値間の差の有意性について

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タイトル別名
  • Studies on structure of food consumption through multivariate analysis (Supplement). On significance of the difference among the data numerical value.
  • On Significance of the Difference among the Data Numerical Value
  • 資料数値間の差の有意性について

抄録

家計調査年報記載資料を分析する前段階として, 統計学的には各地方間・各都市間・各年次間等の収入支出項目平均値の差の有意性の検定が必要であるか, 数例について試みた.<BR>家計調査年報には, 各収入支出項目の標準偏差あるいは変動係数の記載がいっさいない。やむをえず都市間の平均値差の検定には昭和54年4月発刊の家計調査年報参考資料に記載の昭和53年4月の変動係数を適用した.<BR>年次間の平均値差の検定には全国消費実態調査報告, 昭和44・49・54年次の変動係数を平均して適用した.<BR>消費実態調査の変動係数を家計調査に準用するのは大胆すぎると考えられるが, 平均値差の検定が必要なのは調査世帯数の少ない家計調査であり, 母集団が同じであれば両者の変動係数は近似するはずであり, 準用も許されると考えた.<BR>2個の平均値差の検定にはt分布を利用し, 次の結果を得た.<BR>1) 昭和44年次と昭和49年次の実質食料費項目支出額では18項目中1項目を除き有意差があり, 昭和49年次と昭和54年次では疑わしい1項目を除き有意差があった.<BR>以下の平均値差の検定には分散表によるF分布を利用した.<BR>2) 昭和54年次の10地方間および47都道府県間においては18全項目の差が有意であった.昭和53年4月の家計調査の7大都市間では, 18項目中7項目に有意差がみとめられなかった.47県庁所在都市間については, 都市内分散算出のために準用すべき変動係数に無理があるので, 検定を断念した.3) 昭和38年次から58年次に至る21年次間の分散比は, 全支出項目が判定点をはるかに越えて有意であった.昭和51年次から58年次に至る8年次問においても, 全項目に有意差があった.<BR>家計調査年報記載のデータを分析する場合は, 県庁所在都市 (約5,000世帯・47分類) 以下の少数世帯・多分類の場合は平均値差の有意性の検定が必要である.時系列では短期間年次については年次問の平均値差の有意性の検定が必要である.<BR>全国消費実態調査報告は集計世帯数が多いので, 一部世帯の多分類でない限りは, 分類単位間の平均値差の有意性の検定は必要ないと思う.<BR>4) 平均値差の検定計算の過程で計測可能な各区分単位間の変動係数を算出し比較すると, 酒類は地方差が大, パン・果物一般外食は県間差が大であった.<BR>長期と最近の短期間の年次間変動係数を比較すると, 消費支出・食料費・米・乳卵・酒類・飲料の変動が昭和51年次以降きわめて小さいことが判明した.

収録刊行物

  • 日本家政学会誌

    日本家政学会誌 38 (3), 235-241, 1987

    一般社団法人 日本家政学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001206333145344
  • NII論文ID
    130003850704
  • DOI
    10.11428/jhej1987.38.235
  • ISSN
    18820352
    09135227
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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