アルゴンアーク鋳造機による歯科用ニッケルクロム合金の鋳造について

書誌事項

タイトル別名
  • Nickel-Chromium Alloy Casting by Using an Argon-Arc Casting Machine
  • アルゴンアーク チュウゾウキ ニヨル シカヨウ ニッケル クロム ゴウキン ノ
  • I. Surface Roughness
  • 第1報: 鋳造体の表面粗さ

この論文をさがす

抄録

歯科用ニッケルクロム合金の鋳造面が, 鋳造機の種類や埋没あるいは鋳造時の条件によってどのように変わるかを検討した。<BR>蝋型をリン酸塩系埋没材による直接埋没または蠣型にコロイダルシリカ系の塗型材を塗布してから埋没し, 高周波自動遠心鋳造機またはアルゴンアークガス加圧鋳造機を用いて, 製造業者指示の適正時期または7秒融解過熱した4種の市販高融合金を鋳造した。鋳造試片は沸騰50%NaOH溶液と純水中の超音波洗浄で清掃し, 鋳造面を肉眼観察後, 面粗さを測定し, 次のような知見を得た。<BR>1.いずれの鋳造用合金においても, 蝋型に塗型材を塗布してからリン酸塩系の埋没材で埋没した場合の方が, 蝋型を直接リン酸塩系の埋没材で埋没した場合より面粗さが小さかった。<BR>2.塗型材は, タイコン, スマロイニッケルおよびスマロイチタンのように鋳型壁にはりついたまま凝固する傾向のある合金においては有効であるが, サンコリウムのように鋳型壁から離れて凝固する傾向にある合金においてはさほど有効ではなかった。<BR>3.適正な鋳造時期に鋳造した試片では, アルゴンアーク鋳造機の方が高周波遠心鋳造機より面粗さは小さかった。<BR>4.いずれの鋳造用合金も鋳造時期を遅らせて過熱させて鋳造すると鋳造体の面粗さが大ぎくなった。この影響はアルゴンアーク鋳造機の方が大きかった。<BR>5.適正な鋳造条件においては, 副成分金属元素を多く配合されたタイコンは鋳造体の面粗さが最も小さかったが, 過熱すると強く影響を受けて面粗さが最大になった。NiとCr以外の成分をほとんど含まないサンコリウムは埋没条件や鋳造機の違いや過熱の影響を最も受けにくく, 過熱した場合の面粗さは最小であった。スマロイニッケルおよびスマロイチタンは両者の中間的性質をなした。

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ