転炉スラグ資材を用いた土壌pH 矯正がイチゴ萎黄病の発生に与える影響

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タイトル別名
  • Influence of Soil pH Amendment with Converter Furnace Slag on Incidence of Fusarium Wilt of Strawberry
  • テンロ スラグ シザイ オ モチイタ ドジョウ pH キョウセイ ガ イチゴイオウビョウ ノ ハッセイ ニ アタエル エイキョウ

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抄録

<p>酸性土壌のpH 矯正効果を有する石灰資材の一つである転炉スラグ資材(ミネックス社製「てんろ石灰」)を用いて土壌pH をアルカリ性側に矯正することでイチゴ萎黄病の発病抑制が可能であるかを検討した.野菜育苗用の培土(育苗時pH5.1~6.3 で推移)およびそれに矯正目標pH7.5 として転炉スラグ資材を施用した培土(育苗時pH5.5~7.6 で推移)で健全なイチゴ苗(品種「ふくはる香」)を約170 日育苗後,これらをイチゴ萎黄病菌の人工汚染土に移植した.その際,一部の汚染土については矯正目標pH7.5 およびpH8.0として転炉スラグ資材を施用して土壌pH 矯正を行った.その結果,汚染土の土壌pH を矯正した区(試験期間はそれぞれpH7.4~8.0,pH8.0~8.4 で推移)では,未矯正の汚染土(試験期間はpH5.6~6.0 で推移)に移植した区と比較して発病が抑制された.なお,移植用の汚染土のみをpH 矯正した区よりも,育苗時の培土と移植用の汚染土の両方をpH 矯正した区の方が発病抑制効果はやや高い傾向にあった.次に,前述したものと同様の培土および土壌pH 矯正した培土で健全苗(品種「ふくあや香」)を約110 日育苗し,移植直前に浸根接種により萎黄病に感染させ,土壌pH の異なる培土に移植した.その結果,pH 未矯正の培土(試験期間はpH5.7~6.4 で推移)に接種苗を移植した場合に比べて,土壌pH を矯正した培土(試験期間はpH6.9~7.6 で推移)に移植した接種苗は発病がわずかに抑制される程度であった.また,育苗時の土壌pH の違いは発病に影響しなかった.以上のことから,転炉スラグを用いた土壌pH 矯正は,イチゴ健全苗を移植する場合に萎黄病の発病抑制に有効であることが示唆された.</p>

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