TOF-SIMSを用いたヒノキ古材の心材と辺材における無機成分の検出

書誌事項

タイトル別名
  • Distribution of Inorganic Elements in Heartwood and Sapwood of Hinoki Cypress Detected by TOF-SIMS
  • TOF-SIMS オ モチイタ ヒノキ コ ザイ ノ シンザイ ト ヘンザイ ニ オケル ムキ セイブン ノ ケンシュツ

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抄録

心材と辺材は,心材成分の有無だけでなく,無機成分の分布も異なることが知られている。今回,表面分析法である飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)を用いて,木材伐採後何百年も経過した三十三間堂と法隆寺古材における,心材成分と無機成分の分布を調べた。ヒノキ心材成分であるヒノキニンの古材での分布は,伐採直後に凍結保存したヒノキと類似しており,心材と辺材部分が識別できた。これに対して古材の無機成分の分布は,凍結保存したヒノキにみられた顕著な増減の傾向と異なり,Na,K,Ca全てにおいて,心材に比べて辺材で高濃度になっていた。以上の結果から,木材伐採後の長期の自然乾燥により,心材と辺材の無機成分の濃度が変化することが示唆された。また,心材成分のほかに無機成分の分布に着目することによって,考古学における古材の伐採年代決定に重要な,心材と辺材の識別の新たな可能性について論じる。

収録刊行物

  • 木材学会誌

    木材学会誌 59 (6), 353-360, 2013

    一般社団法人 日本木材学会

参考文献 (14)*注記

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