マツカレハの休眠にみられる地理的変異

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タイトル別名
  • The geographical variations in diapause of the pine-moth, <i>Dendrolimus spectabilis</i> BUTLER
  • マツカレハ ノ キュウミン ニ ミラレル チリテキ ヘンイ

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説明

マツカレハの休眠の仕方にどのような地理的変異があるのかを知るため,いろいろな地方のマツカンパを短日条件下で飼育し,生育経過を調べた。一般に,北の地方の個体群は若い齢期で休眠し,南の地方の個体群はより進んだ齢期で休眠する傾向がみられたが,休眠の起こり方の違いを南北の関係のみで説明できない場合もあった。休眠幼虫の頭幅にもかなりの変異があり,同じ齢期でも南の個体群ほど大きくなる傾向があるが,緯度の違いのみで説明できない変異もあることは,休眠の起こり方にみられたのと同様であった。休眠にはいる時期,休眠時の齢構成,休眠幼虫の大きさなどと冬季の寒さとの間には,寒さがきびしい地方のマツカレハほど早く休眼にはいり,休眠時の齢期も若く,体の大ぎさも相対的に小さいという関係がみられた。すなわち,マツカレハの休眠の様相にみられる地理的な変異は,生育期の温度条件ばかりでなく,マツカレハがもっている遺伝的性質そのものの違いも大きく関与する結果生ずると考えられた。

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