リンゴ紫紋羽病に対する液状複合肥料地表面灌注処理の発病抑制要因

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タイトル別名
  • Factors involved in disease suppression of violet root rot, caused by Helicobasidium mompa, with a fertilizer paste applied to soil surface around the base of apple trunks.
  • リンゴ ムラサキモンバビョウ ニ タイスル エキジョウ フクゴウ ヒリョウ チヒョウメンカンチュウ ショリ ノ ハツビョウ ヨクセイ ヨウイン

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抄録

液状複合肥料(TP)地表面灌注処理(S処理)のリンゴ紫紋羽病に対する発病抑制要因を,黒ボク土(壌土)を用いて調べた.最初に,ポットを用いて尿素(UR),リン酸,塩化カリウムをそれぞれS処理したところ,URのS処理土壌が強い菌糸伸長抑制作用を示した.次に,PDB培地を用いた培養試験では,URおよび硝酸塩のNaNO3,KNO3は10 mg/ml濃度で本病菌の生育を抑制しなかったが,炭酸アンモニウム(AC)および亜硝酸塩のNaNO2,KNO2はそれぞれ1 mg/mlおよび0.1 mg/ml濃度で生育を認めなかった.TP,URおよびACのS処理土壌は処理29日後まで強い菌糸伸長抑制作用を示し,土壌のNH4-NおよびNO2-N含量はそれぞれ生育抑制閾値のN含量を上回った.また,土壌微生物相は糸状菌数が減少し,細菌数,中でもアンモニア酸化細菌数が増加した.菌糸伸長抑制作用は処理62日後に低下したが,土壌のNH4-NおよびNO2-N含量も減少し,糸状菌数,細菌数は対照区と同程度となった.また,本病菌を接種したポット栽植のマルバカイドウに対して,URおよびACのS処理,亜硝酸塩の土壌混合処理はTPのS処理と同様に有意に発病を抑制したが,硝酸塩の土壌混合処理は発病を抑制しなかった.これらのことから,本処理の発病抑制要因として,URから生成されるAC,NO2-Nの本病菌に対する殺菌作用の関与が示された.<br>

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