日本で発生した牛のヨーネ病について

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  • SOME OBSERVATIONS ON BOVINE PARATUBERCULOSIS IN JAPAN
  • ニホン デ ハッセイ シタ ウシ ノ ヨーネビョウ ニ ツイテ エイブン

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抄録

ヨーネ病は牛・緬山羊などの反幻獣を侵す慢性の伝染病で,わが国では過去に二三の牧場においてその発生が報告されている.今回,著者らは帯広近郊の2つの牧場において,牛の本症例に遭遇したので,これを臨床・病理・細菌および血清学的に検討した.第1例は1968年10月アメリカより輸入された5才の乳牛である.臨床的には,1969年11月から8カ月間にわたる頑固な下廂を主徴とし,元気・食欲・被毛光沢を欠き,極度に削痩し,予後不良の判断で殺処分された.剖検所見では,腸管各部の粘膜が肥厚し,特徴的な皺襞形成が観察された.組織学的には,腸管粘膜固有層および粘膜下織に多数の抗聚菌を寅食した類上皮細胞の著明な集積をみた.細菌学的検査では,腸管各部粘膜と腸間膜リンパ節の塗抹標本で多数の集塊状抗酸菌を認め,同材料のSmit11培地での培養において,ヨ一ネ菌を分離した.血清反応では,発病牛がCF2.PHA抗体1:16,同居牛20頭中1頭がCF,PHA抗体1:4~l:8を示し,約10カ月間にわたって持?続し,本病の感染を示唆した.第2例も,1964年にアメリカより輸入された10・才の乳牛である.1969年8月から10カ月間にわたる下痢が認められ,元気,食欲なく,削痩著しく,殺処分された.病理所見は前例にほぼ等しく,また腸管部の塗抹標本では,多数の集塊状抗:酸菌がみられた.同材料のSmith培地での培養・で,ヨーネ菌が分離された.わが国におけるヨーネ病の発生状況を文献に基づいて整理したところ,過去のすべての発生例.は,今回の成績と同様に,輸入動物か,またはこれらと密接な関連にあった動物に限られていることが明らとかなった.

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