猫の鉤虫症に関する実験的研究 : III. Ancylostoma tubaeforme ZEDER,1800 および Ancylostoma caninum ERCOLANI,1859 の虫卵の培養について

書誌事項

タイトル別名
  • EXPERIMENTAL STUDIES ON ANCYLOSTOMIASIS IN CATS : III. EGG CULTURE OF ANCYLOSTOMA TUBAEFORME ZEDER, 1800 AND ANCYLOSTOMA CANINUM ERCOLANI, 1859
  • ネコ ノ コウチュウショウ ニ カンスル ジッケンテキ ケンキュウ 3 Ancylostoma tubaeforme ZEDER , 1800 オヨビ Ancylostoma caninum ERCOLANI , 1859 ノ チュウラン ノ バイヨウ ニ ツイテ エイブン

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説明

わが国の猫に寄生した鉤虫には, AnclostomatubaeformeとA.caninumの2種があることを,すでに報告した.今回は, この両種鉤虫について,各種の培養温度下における虫卵の解化率およびRhabditirormlarvaからFilarirormlarvaへの発育率の変動を検索した.A.lubaeformeの虫卵を37°Cから15°Cまでの間の各種温度下で培養した場合に,20°Cでは,1日目から解化が始まり,その後の4日間に供試虫卵の99%が岬化したが,300Cでは95%,37・Cでは69%が解化したに過ぎなかった.また解化したRhabditiformIarvaは,20°Cの培養温度下で85%がFilarirormlarvaに発育をとげたが,30°Cでは68%,37°Cでは41%が発育したのみで,残余のlarvaは死滅した.次にA-caninumの虫卵を,前記と同一の方法で培養した場合には,30°Cの温度下で,1日目から3日間に,供試虫卵の94%が解化したが,200Cでは86%,15°Cでは55%しか解化しなかった.また解化したRhabditiformlarvaは,30°Cの培養温度下で,97%がFilarirormlarvaに発育したが,温度の低下に件って死滅するlarvaの数が増加し,200Cでは71%,15°Cでは11%が発育したに過ぎなかった.以上のように,A.tubaeformeの虫卵貯化とlarva発育の両条件に最適の培養温度は200Cであった.A.Ca7llnumの場合では,30°Cを最適温度と認めた.人体に寄生する各種鉤虫卵の培養に関する従来の文献によれば,A.duodenaleとNecatoramericanusを比較試験した結果,前者の低温度下で抵抗力が強く,後者は高温度下で抵抗力が強いことが報告されている.然し同一のGcnusに属するA.tubaefor7neとA.caninumの虫卵1arvaの最適培養温度の間に,10°Cの差が認められたことは興味あることである.

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