ひな白痢菌ファージに関する研究 : I. ファージの分離と性状

書誌事項

タイトル別名
  • STUDIES ON SALMONELLA PULLORUM PHAGE : I.ISOLATION OF PHAGES AND THEIR PROPERTIES
  • ヒナハクリキン ファージ ニ カンスル ケンキュウ 1 エイブン ファージ ノ ブンリ ト セイジョウ

この論文をさがす

抄録

チフス菌を始め,他のサルモネラ,ブドウ球菌その他の細菌で,ファージによる型別,疫学的な追究,遺伝形質の変換などに関する研究が行なわれている,著者は,ひな白痢菌においても,上記の問題についてファージが利用し得るか否かを試験した.本報告では,ひな白痢菌の亜聖に特異的なファージを得るために,S,V,1型菌および鶏チフス菌を指示菌として分離を試み,得られたファージを分類し,若干の性状を調べた.成績は次の通りである.1.鶏糞より,S型菌で増強される3株,V型菌で増強される1株,計4株のファージを分離した.ひな白痢でへい死したひな4例中3例の肝臓より,I型菌を対応菌としてそれぞれ1株づつと,S型菌によって1株,計4株を得た.紫外線誘発法により,ひな白痢菌137株中127株から,138株のファージを分離したが,その際9株の変異型が得られた.ひな白痢菌由来ファージは,S,V聖菌および鶏チフス菌を指示菌として検出されたが,特にV型菌が指示菌として最も適当である.2.合計155株の77-ジを分離由来別によって I~IV群に大別した.さらにこれらを,なひ白痢菌に対する溶菌域とブラックの性状によって,10型に細分した.すなわち,鶏糞由来をI群として,Ia型(.2株),Ib型(1株),IC型(1株)の3型に分け,ひな白痢菌由来をIIおよびI1I群として,IT群を1Ia型(59株),IIb型(63株)に区別し,変異ファ-ジをIIV?型(1株)とIIV2型(8株)にした.I11群(16株)は細分し得ない.ひなの肝臓由来のIV群を,IVa型(3株)とIVb型(1株)の2つに分けた.3.代表のファージについて,中和試験,耐性菌交叉試験,熱抵抗性,紫外線抵抗性および他種細菌に対する溶菌性などの諸性状を検討した.その結果,前記の分類が妥当であることを確認した.4.ひな白痢菌由来ファージは3種に分類され,IIa型とIIb型は諸性状が類似していたが,III群は前2者と明らかに異なっていた.11菌株からは2種の7アージが分離されたが,これらはIIb型とIII群であった.5.II群とIII群ファージは,ひな白痢菌と鶏チフス菌を特異的に溶菌し,I群と1V群ファージは,サルモネラBおよびD群の少数菌株を溶菌したが,いずれもひな白痢菌に特異性が強い.本論文は,北海道大学審査学位論文で,規定に基づき公表する.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ