カルペリチドとトルバプタンの併用が奏功をした拡張型心筋症による難治性心不全の一症例

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Case of Loop Diuretic Resistance Following Furosemide Overdosing (120 mg/day) Complicated by Exacerbation of Congestion and Recovery after a Reduction in the Dose of Furosemide (20 mg) and the Addition of Tolvaptan
  • 症例報告 カルペリチドとトルバプタンの併用が奏功をした拡張型心筋症による難治性心不全の一症例
  • ショウレイ ホウコク カルペリチド ト トルバプタン ノ ヘイヨウ ガ ソウコウ オ シタ カクチョウガタ シンキンショウ ニ ヨル ナンチセイ シンフゼン ノ イチ ショウレイ

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抄録

他医にて拡張型心筋症による治療抵抗性の体液貯留を伴う重症慢性心不全で治療されていた93 歳女性が,H27 年に入り1 月から9 月までに同医の病院にうっ血増強により5 回入退院を繰り返していた.同年11 月に再び全身浮腫と肺うっ血により動悸,呼吸困難,起坐呼吸をきたし当院ICU に搬入された.前医の処方薬はfurosemide 120 mg/日と過剰容量が処方されておりかつ心不全標準治療であるRAA 系阻害薬(ACEI やARB)やspironolactone の処方がなされておらず且つβ遮断薬carvedilol も2.5 mg/日に留まっていた.furosemide 過剰容量服用によるRAA 系や交感神経系など神経体液性因子の亢進と腎機能の疲弊やarginine vasopressin (AVP) 系の亢進も治療抵抗性心不全の原因と考えられ,入院初日よりcarperitide 0.05 μg/kg/分で2 週間靜注し,dobutamin 及びdopamine をそれぞれ3 μg/kg/分で3 日間,furosemide 注20 mg/日~10 mg/日で2 週間靜注,その後furosemide 錠20 mg/日へ変更,potassium canrenonate 400 mg/日靜注1 週間,その後spironolactone 錠100 mg/日へ変更した.また入院後2 日目よりtolvaptan 錠7.5 mg/日より開始した.前医にては心不全におけるRAA 系や交感神経系など神経体液性因子の亢進に対しての治療が十分に為されていなかったことより,入院初日よりcandesartan 2 mg/日及びcarvedilol 5 mg/日を投与した.これらの治療が奏功しtorvaptan 処方2 日目には最大尿量3400 ml/日を得てその後連日ほぼ3000 ml/日前後の尿量とともに2 週間後には鬱血が解除され心臓リハビリテーションを行い4 週後に退院となった.現在も外来にてtolvaptan 3.75 mg/日の継続服用とfurosemide 10 mg/日及びspironolactone 50 mg/日の併用,candesartan 2 mg/日とcarvedilol 5 mg/日の継続で再入院することもなく安定した経過をたどっている.

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参考文献 (12)*注記

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