クロマグロ完全養殖への軌跡と将来展望
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- 熊井 英水
- 近畿大学水産研究所顧問・名誉教授
抄録
近年マグロ資源をめぐり国際資源管理機構の動きが活発化して,ワシントン条約締約国会議にも提案されているように,持続的漁業を保証する漁獲規制など資源量を守る方策は勿論のこと,積極的にマグロ資源をつくり育てる諸技術の開発が喫緊の課題となっています。しかし,マグロの増養殖の研究は研究者の間でも垂涎の的となっていましたが大海を大回遊する大型魚ゆえにそれは不可能と言われてきました。私共はマグロ類中最も大型で美味で市場価値も最高でありながら漁獲割合はマグロ類中僅か18%にすぎない希少種であるクロマグロを対象に,1970年から増養殖の研究に果敢に挑戦しました。本種は酸素要求量が大きく,皮膚が脆弱で天然採捕の幼魚の飼いつけも難しく,さらにふ化後の仔魚の初期減耗や稚魚期の共食いが激しく光や音などの刺激に敏感で,その上,濁水にも弱く,飼育は想像以上に困難を極めました。私共はこれらの困難を一つ一つ克服して1979年に初めて生簀内での産卵に成功し,2002年には実に32年の歳月を要しましたがふ化した仔魚を親魚にまで育て上げ,これが産卵するという「完全養殖」に世界で初めて成功しました。現在では未だ世界中に例をみない完全養殖第3世代目に達しております。現在盛んになっているクロマグロ養殖の種苗はその殆どが天然に依存していますが,水産庁はその漁獲可能尾数を535,000尾と規制しています。私共ではすでにその20%弱の97,000余尾を生産することに成功しています。私の持論は将来クロマグロ養殖用種苗はすべて人工で賄い天然には手をつけないこと,さらには稚魚を量産して遺伝的多様性等の問題点を明らかにしたのち放流して,希少な天然資源に添加してクロマグロの資源増強を図ることにあります。その他,食糧として安心・安全なクロマグロの生産についても触れてみたいと思います。
収録刊行物
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- 日本口腔科学会雑誌
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日本口腔科学会雑誌 64 (2), 73-73, 2015
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001206434615168
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- NII論文ID
- 130005089987
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- ISSN
- 21850461
- 00290297
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可