異常心電図および著明なcreatine phosphokinase(CPK)高値を示した悪性症候群(syndrome malin)の1例

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  • A CASE OF SYNDROME MALIN WITH ELECTROCARDIOGRAPHIC ABNORMALITIES AND REMARKABLE ELEVATION OF SERUM CREATINE PHOSPHOKINASE LEVEL

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症例は48才の女性. 1年4カ月前より体のふるえ出現し,精神科でヒステリーと診断された.その後症状増強したためlevomepromazine25mg筋注を3回受け,発熱,無動,嚥下障害,筋強直,上肢振戦,流涎,発汗,頻脈が出現した.心電図では胸部誘導でST上昇, 5時間後に巨大陰性T波を示し,血清GOT, GPT, LDH, CPKが上昇し,特にCPKは19580IUと高値を示した. CPKアイソザイムはMM型100%で,心筋スキャン,心エコー図より急性心筋硬塞は否定的であつた.発熱,多彩な自律神経症状,錐体外路症状を呈し,向精神薬により発生するまれで重篤な副作用である悪性症候群と診断した.悪性症候群ではCPK値の上昇はよく認められるが,数万IUまで上昇した症例は本邦では数例しかなく,本症例は22250IUまで上昇した.心電図上は,本症候群では頻脈, ST-T変化など報告されているが,本症例において,入院時胸部誘導でST上昇, 5時間後には巨大陰性T波が出現するが, 5日後には正常心電図に回復するという急速で激しい変化を示した.心筋スキャン,心エコー図,心血管造影などの検査では有意の病変は発見できず,これらの可逆性の心電図変化は心疾患に起因するものではなく,向精神薬の作用により出現したものと考えた.

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