糖尿病におけるレニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系

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タイトル別名
  • RENIN-ANGIOTENSIN-ALDOSTERONE SYSTEM IN DIABETES MELLITUS
  • トウニョウビョウ ニ オケル レニン アンジオテンシン アルドステロンケイ

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説明

近年レニン分泌の異常が報告されて来ている糖尿病患者(男40人,女41人)を対象に, R-A-A系の検討を行なつた.血漿レニン活性(PRA)および血漿アルドステロン濃度(PAC)は,早朝安静臥床時およびfurosemide 40mg静注し, 2時間立位歩行後の2回採血し, RIA法で測定した.尿中アルドステロン値(UA)は24時間蓄尿したサンプルを塩酸で水解後5%BSAで希釈し, PACと同様に測定した.女性および高令者ではPRAは低値を示したが, PACには差が認められなかつた.血清K値が高い例ではPRA, PAC共低値であり,血清K値の維持にR-A-A系が重要な役割を持つていると思われた.立位負荷時収縮期血圧が10%以上低下するにも拘わらず脈拍の増加しない例では低PRA,低PACであり,交感神経の“β-作用”と相関している事が示された.糖尿病羅病期間の長い例,又合併症を持つ例,および血管合併症,高血圧を有する例ではPRA, PAC, UAのいずれも低値であり,その程度が強い者では高K血症が認められた.糖尿病患者におけるR-A-A系の低下は生理的な機序による分泌抑制によるものではなく,機能的又は器質的な原因によるrenin, aldosteroneの産生,分泌障害によると考えられ,合併症の進展を反映して産生,分泌障害も進行すると思われる. UAはPACの負荷値とより強く相関した. PRAとPACの反応性については有意の相関が認められたが,一部の例では解離が認められ,その機序につき若干の考察を加えた.

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