βしゃ断薬の臨床薬理  降圧薬としての使用を中心として

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タイトル別名
  • CLINICAL PHARMACOLOGY OF β-ADRENOCEPTOR BLOCKING DRUGS AND THERAPEUTIC USE IN HYPERTENSION
  • ベータ シャダンヤク ノ リンショウ ヤクリ コウアツヤク トシテノ シヨウ

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抄録

本格的な降圧薬療法が開始されて約30年になるが,今や高血圧の治療においてはβ遮断薬が第1選択あるいは第2選択の薬として一般に広く用いられるようになつた.現在,科学的薬物療法の基礎を与えるものとして最も重要視されているのは,臨床薬理学的研究であるが, β遮断薬は共通に有するβ遮断作用の他に,しばしば膜安定化作用,内因性交感神経刺激作用,中枢抑制作用などの附随的薬理作用を有し,これらがさまざまに臨床効果に影響してくることが認められている. β遮断薬は一般に腸管からの吸収は良好で,血中濃度は1~3時間でピークに達する. β遮断薬の中には肝初回通過効果が大きく,生体利用率が比較的小で,しかも個人差の大なるものがある.生体内での分布は速やかで分布容量は大であり,中には中枢に移行し中枢抑制作用を示すものがある.一般に生体からの消失は速やかで,消失半減期は2~4時間であり,尿中排泄はさまざまである.血中濃度とβ遮断効果は大体平行するが,その他の薬理作用とは必ずしも平行しない. β遮断薬の降圧効果については,単独投与では比較的有効率が小であるが,別尿薬や血管拡張薬との併用で大となる.その降圧機序は必ずしも明らかではないが,性機能障害や起立性障害がほとんどみられないこと,とくにこれによつて心筋硬塞の発生頻度を低下させ得る可能性があることなどがすぐれた特徴とされている.今後,臓器選択性を有するもの,あるいはα遮断作用を併せもつものなどの登場が予定されており,基礎的ならびに臨床的研究の一層の発展が期待される.

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