エチオコラノロン熱にかんする研究  放射性免疫分析法にて測定した血中遊離型エチオコラノロン値について

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タイトル別名
  • STUDIES ON ETIOCHOLANOLONE FEVER
  • Etiocholanolone fever ニ カンスル ケンキュウ Radi
  • Radioimmunoassay法にて測定した血中遊離型etiocholanolone値について

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抄録

Etiocholanolone (3α-hydroxy-5β-androstan-17-one)はandrogenの代謝産物であり,大部分は肝で抱合型となり尿中に排泄され,一部は遊離型として血中に微量存在している. 1957年Kappas等がこのetiocholanoloneを筋注すると特異な発熱が生ずることを報告して以来, etiocholanoloneは内因性の発熱性ステロイドとして注目されている. 1958年Bondy等はいわゆるperiodic fever様の臨床症状を呈する原因不明の発熱患者の有熱時の血中に遊離型etiocholanoloneを証明したと報告し,発熱性ステロイドである遊離型etiocholanoloneが血中に著増することにより発熱が生ずると推定される特殊な発熱疾患を一括し, “etiocholanolone fever”と呼ぶことを提唱した.その後類似の症例報告も追加され,そのclinical entityとしての存在が確立されたかに思われたが,近年Bondy等の血中遊離型etiocholanolone濃度測定法に問題のあることが判明し,今日では“etiocholanolone fever”の存在を疑問視する者が多い.このような観点から著者は比較的簡便で,感度,精度ともに優れたetiocholanoloneのradioimmunoassay系を開発し,健常人,通常の発熱疾患患者,およびetiocholanolone筋注時の血中遊離型etiocholanolone濃度を測定し,若干の興味ある知見を得た.さらにこれらの知見をもとにetiocholano1one feverにかんする臨床的考察を加え, “etiocho1anolone fever”は実験的には実証されるものの,その臨床的存在については,向後信頼出来る血中遊離型etiocholanolone定量法により慎重に再検討すべきであることを指摘した.

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