ACTHおよびβ-MSH産生悪性胸腺carcinoidの1症例と異所性ACTH産生胸腺腫瘍の本邦報告例の考察

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF ACTH AND, β-MSH PRODUCING MALIGNANT THYMIC CARCINOID TUMOR AND ITS RELATION TO THE ECTOPIC ACTH PRODUCING MALIGNANT THYMOMA
  • ACTH オヨビ ベータ MSH サンセイ アクセイ キョウセン carcin

この論文をさがす

抄録

生前異所性ACTH, β-MSH産生悪性胸腺腫と診断し,試験切除による一部腫瘍切片の光顕および電顕的検索から悪性胸腺carcinoidと診断された興味ある症例を経験したので,剖検所見と共に症例の概要を紹介し,文献的考察を加えた.症例は68才,男子で胸部X線異常陰影の精査と下腿浮腫を訴え入院.典型的Gushing症候群やcarcinoid症候群を示唆する所見はない.胸部X線縁で左側上前縦隔に直1Ocmの巨大な腫瘤陰影を認め,選択的胸腺静脈撮影により悪性胸腺腫が示唆された.尿中17-OHCS, 17-KS共に著増し,血中cortisol, ACTH, β-MSH (9am)も共に高値で日内変動を認めず, dexamethasone lmg, 4mg法の抑制試験は共に陽性, rapid ACTH試験で過大反応を示す.入院40日後突然,低K血性アルカローシス,尿糖,高血糖,高血圧などが出現し,異所性ACTH, β-MSH産生悪性胸腺腫の診断のもとに開胸手術を行なうも高度の癒着のため試験切除の施行にとどめた.術後9日目に肺水腫を来たし死亡した.病理組織学的に原発腫瘍は神経細胞由来の腫瘍に酷似し,索状配列,中心壊死,石灰沈着,ロゼット形成を示し, argyrophil顆粒陽性,電顕的にも豊富な分泌穎粒が確認され,胸腺carcinoidと診断された.また本腫瘍中よりACTH, β-MSHおよびserotoninが証明され,剖検で副腎の結節性過形成および下垂体β細胞のCrooke変性とACTH含量の著減が証明された.異所性ACTH産生腫瘍とPearseのAPUD系細胞由来carcinoidとの関連,および異所性ACTH産生胸腺腫瘍の本邦報告例をまとめ考察を加えた.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ