多彩なIgA系の異常が証明されたWegener肉芽腫症

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  • A CASE OF WEGENER'S GRANULOMATOSIS ASSOCIATED WITH VARIOUS KINDS OF ABNORMALITIES OF IgA SYSTEM
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抄録

Wegener肉芽腫症の成因にかんしては,アレルギー性過敏症(Arthus型反応を含めて),免疫複合体病などが推論されてきたが,いずれも決定的な証明は得られていないのが現状である.いわゆるIgA nephropathyにみられるように,本症もまた多くの場合,気道病変に始まり腎病変に波及する2相性経過をとることが特徴的である.従つて分泌系免疫組織(主としてIgA系)の反応の様態が問題となるであろう.かかる立場から,本症の成因の一端を明らかにするために,本症におけるIgA系について検討を加えた.症例. 32才の女子で嗄声,咳嗽,喀痰を主訴として入院.鞍鼻,胸部X線像上両肺野に浸潤陰影,巣状壊死性糸球体炎を呈し, Wegener肉芽腫症と診断した.本例は血清IgA増加,とくに気道由来と推定される重合体の増加,尿中secretory IgA (S-IgA), secretory componet (SC)の排泄増加,腎尿細管におけるSCの局在と糸球体におけるIgAの沈着などのIgA系異常を認めた.この点にかんしては,気道病変に反応して産生されたS-IgAが腎においてIgAとSCに解離し,前者は糸球体のmesangiumに沈着し,後者は糸球体を〓過した後に尿細管に再吸収されたものと考えたい.その理由はSCが尿細管にびまん性に認められずに,巣状に認められたからである.しかし気道に存在した抗原とS-IgAの複合体が血行を介して腎に沈着した機序は不明である.

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