脚気心の循環動態左心カテーテル法その他によるその1例の観察

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  • HEMODYNAMICS OF THE BERIBERI HEART DISEASE, AS OBSERVED IN A TYPICAL CASE
  • キャクキゴコロ ノ ジュンカン ドウタイ サシン カテーテルホウ ソノタ ニヨ

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15才,男子,動悸,息切れにて受診.血圧120/0mmHg,両下肢浮腫,腱反射減弱・知覚鈍麻あり,脚気を疑い即日入院.静脈圧260mmH2O,心胸比46%,心室性期外収縮, Wenckebach周期と思われる不整脈,第2肺動脈音亢進,心尖部収縮期雑音,第3・4音存在.全血中vitamin B1量1.9μg/dl,尿中vitamin B1排泄量14.3γ/日,赤血球transketolase活性値26.1γ/ml, thiamine diphosphate効果48.3%により脚気と診断.心臓カテーテル法検査にて左室拡張終期圧23.5mmHg,右室拡張終期圧15,肺動脈平均圧20.5,平均肺動脈楔入圧13.5,心拍出量18l/分, 1回拍出量198ml,全末梢血管抵抗784dynes・sec・cm-5.心筋生検では心筋・間質に浮腫を認めた.入院後普通食の切り代えにて,上記症状消失.血圧,静脈圧も正常化.心胸比36%とさらに縮小.心音所見改善.全血中vitamin B1値その他改善.循環諸値も正常化あるいは正常に近い値に回復.この所見は従来云われている如く,まず全末梢血管抵抗が低下して心拍出量を増大させ,その結果心室拡張期圧上昇,すなわち心不全を招来したと解釈される.慢性アルコール中毒に併う脚気心の右心カテーテル法検査による循環動態の報告は欧米よりなされているが,純粋に食餌性の脚気心についての報告は少ない.わが国における脚気心は進歩した循環動態検索法によりほとんど調ベられていない.その意味で報告を行なつた.

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