運動後ミオグロビン尿症を発症し急性腎不全に陥つた1例

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  • A CASE OF ACUTE RENAL FAILURE CAUSED BY EXERTIONAL MYOGLOBINURIA
  • ウンドウゴ ミオグロビン ニョウショウ オ ハッショウシ キュウセイ ジンフゼ

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説明

20才の男性.家族歴に筋疾患はなく,筋痙〓,脱力などの既往も無い.マラソン中6~7km走つた後,大腿部の脱力をきたし譫妄状態となり入院.入院時,発熱,頻脈,脱水を認め大腿伸筋の筋痛を訴えた.尿は暗褐色,混濁し顆粒円柱が多数存在. GOT, GPT, LDH, CPK等諸酵素値の上昇,低K血症を認めた.褐色尿は3日,筋痛は1週間で消失し,諸酵素値も第7病日GOT 683 K-Unit, GPT 179K-Unit, LDH 3,904UV. Unitに達し以後正常化した.一方,急性腎不全が急速に進行し, BUNを上まわるcreatinineの上昇が認められた.第9病日BUN 136mg/dl, creatinine 19.3mg/dlに達し腹膜潅流を開始.第20病日より利尿期となり約40日の経過で改善をみた.発症初期の尿および血清より免疫沈降反応によりmyoglobinを検出.第49病日の筋組織像では,筋線維の再生過程と思われる変化を認めただけであつた.以上よりexertional myoglobinuriaと診断したが, idiopathic paroxysmal myoglobinuria, heat stroke等, entityの明確でない類縁疾患との鑑別は現在のところ必ずしも明瞭でない.本症の発症機転として入院時みられた低K血症と脱水が,筋血流の相対的欠乏を来たし,それにより筋破壊をもたらした可能性が考えられた.本症,とりわけ腎不全を合併した例の報告は本邦では極めて少ない.しかし,潜血反応陽性で顆粒円柱を含む褐色尿,筋由来の血清諸酵素値の上昇と共に, BUNを上廻るcreatinineと, K等の上昇を示す原因不明の急性腎不全に対して, myoglobinuriaの可能性を疑つてみる必要を示唆する症例である.

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