心臓侵襲を伴つた風疹の2例

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タイトル別名
  • TWO CASES OF RUBELLA INFECTION WITH CARDIAC INVOLVEMENT
  • シンゾウ シンシュウ オ トモナッタ フウシン ノ 2レイ

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抄録

1975年夏頃始まつた風疹の流行では種々の重篤な合併症が報告された.ここに報告するのは心侵襲合併例である.症例1. 40才,女.妊娠23週目頃より心不全症状出現.第28週にて1,000gの女児を分娩したが12時間後死亡.分娩後起坐呼吸出現,当科入院.心拍数135/分整,呼吸数42/分,血圧106/80mmHg,静脈圧175mmH2O, CTR61%,低電位心電図,心エコー図および心プールスキャンにて心膜貯留液を証明.心音は初めは奔馬調律を呈し,のちには心尖部収縮期雑音聴取.左室造影にて僧帽弁軽度逆流証明.心筋生検にて軽度細胞浸潤を伴う心筋融解化と間質線維化を認めた.風疹抗体価は妊娠9週には128倍,心症状出現時4,096倍に上昇.以上より心膜炎,心筋炎,心内膜炎を呈する風疹による全心炎と診断.入院後146日にて軽快退院.症例2. 52才,男.心不全症状を主訴として入院.血圧106/95mmHg,静脈圧215mmH2O,胸部X線像にて両側胸膜浸出液貯留, CTR63.5%,低電位心電図.心エコー図および心プールスキャンにて心膜貯留液を認め,風疹抗体価256倍から1,024倍に上昇.風疹による胸膜心膜炎と診断.入院後52日にて軽快退院.現在まで風疹による心筋炎として世界中で4例報告されているが,心膜炎と明記されたものはない.今回のような風疹流行期には風疹による心炎の可能挫に注意しなければならない.

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