ボツリヌス毒素の遺伝子および構造と機能に関する研究

  • 小熊 惠二
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病原細菌学

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on gene and structure and function of <i>Clostridium botulinum</i> toxin
  • ヘイセイ 17ネン アサカワショウ ジュショウ ロンブン ボツリヌス ドクソ ノ イデンシ オヨビ コウゾウ ト キノウ ニ カンスル ケンキュウ

この論文をさがす

抄録

ボツリヌス菌は強力な神経毒素を産生する。毒素はその抗原性の異なりによりA∼G型に分類されるが, いずれも分子量は約15万である。食品や培養液中では無毒成分が結合して, 分子量約30万 (12S), 50万 (16S), 90万 (19S) の複合体 (progenitor toxin) を形成する。12S毒素は神経毒素に赤血球凝集活性を示さない無毒成分が結合して, この12S毒素に hemagglutinin (HA) が結合して16S, 19S毒素が形成される。私達はA∼E型 progenitor toxin を精製するとともに, それらの多くの遺伝子をクローニングし, 全塩基配列を決定することなどにより, その遺伝子構成と各種毒素の一次構造を (一部では3次構造も) 明らかにした。HAは4つのサブコンポーネントより成っていたが, これらをリコンビナントタンパク質として作製したものや各種精製毒素を用い, 結合実験や毒素の吸収実験を in vivoin vitro で行うことなどにより, それらの機構を解明した。さらに, C型D型毒素の homogeneity と heterogeneity を解析し, これまでのCα, Cβ, D型という分類は誤りであることを明らかにした。また, C型D型毒素遺伝子はファージ変換により伝達されるが, 毒素遺伝子やファージDNAの全塩基配列を決定することなどにより, その機構を解明した。最近, 簡単にA型B型神経毒素を精製し, 安定に保存する方法を開発したので, その臨床応用も試みている。

収録刊行物

参考文献 (63)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ