腸球菌の高頻度接合伝達性プラスミド

  • 富田 治芳
    群馬大学大学院医学系研究科・生体防御機構学講座・細菌学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Highly conjugative plasmids in enterococci
  • 平成21年小林六造記念賞受賞論文 腸球菌の高頻度接合伝達性プラスミド
  • ヘイセイ 21ネン コバヤシ ロクゾウキネンショウ ジュショウ ロンブン チョウ キュウキン ノ コウヒンド セツゴウ デンタツセイ プラスミド

この論文をさがす

説明

腸球菌Enterococcusにはグラム陽性菌では一般的でない高頻度接合伝達性プラスミドの存在が知られている。これまでに2種類の腸球菌高頻度接合伝達性プラスミドの報告があり,一つはE. faecalisのフェロモン反応性プラスミド,もう一つはE. faeciumのpMG1型フェロモン非反応性プラスミドである。フェロモン反応性プラスミドは受容菌の生産するペプチドフェロモン(性フェロモン)に供与菌が反応し,プラスミド上にコードされる凝集物質の誘導発現により供与菌と受容菌との安定な接合対が形成され高頻度で接合伝達が行われる。これまでに複数種類のフェロモンとそれぞれに特異的なフェロモン反応性プラスミドが報告,解析されているが,その複雑な接合伝達調節機構はプラスミド間でほぼ類似の調節機構の遺伝子群から成っていることが示されている。一方,pMG1型高頻度接合伝達性プラスミドは私達が日本の臨床分離株から発見した高度ゲンタマイシン耐性プラスミドで,フェロモンを介さない新規の接合伝達調節機構を持つ。このpMG1型プラスミドはVREをはじめE. faecium株に存在し,バンコマイシン耐性などの薬剤耐性遺伝子の拡散,伝播に関与している。これまでの解析からpMG1型プラスミドの接合伝達には複数の調節遺伝子が関与し,複雑な調節機構を持つことが明らかとなりつつある。<br>

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (78)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ