放射性炭素年代測定における炭化物試料の酸—塩基—酸前処理法に対する化学的検証

  • 渥美 晋
    東京理科大学理学部応用化学科
  • 米田 穣
    東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻人類進化システム分野
  • 柴田 康行
    国立環境研究所化学環境研究領域
  • 保倉 明子
    東京理科大学理学部応用化学科
  • 中井 泉
    東京理科大学理学部応用化学科

書誌事項

タイトル別名
  • Chemical evaluation of the ABA pretreatment of charcoal samples for radiocarbon dating
  • 放射性炭素年代測定における炭化物試料の酸-塩基-酸前処理法に対する化学的検証
  • ホウシャセイ タンソ ネンダイ ソクテイ ニ オケル タンカブツ シリョウ ノ サン エンキ サン ゼン ショリ ホウ ニ タイスル カガクテキ ケンショウ

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説明

地球科学や考古学の分野では,酸—塩基—酸(Acid-Base-Acid : ABA)前処理法で洗浄された炭化物が 14C年代測定用試料として広く用いられている.しかし,この前処理法は必ずしも客観的かつ独立的な検証に基づくものではなく,塩基溶液洗浄時の処理終了は目視にて判断されてきた.本研究では,実際の考古試料の 14C年代測定において,塩基溶液による抽出段階でのNaOH溶液に対する目視による色調と実際の有機物抽出の様子,その年代値への影響について新たな独立の化学的指標である三次元蛍光分析によって検証することを試みた.その結果,目視により塩基溶液処理終了と判断した後も,三次元蛍光分析結果では腐植物質が観察され,年代測定結果もこれを裏づけた.すなわち,目視による塩基溶液洗浄処理終了の判断は,不十分である可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 48 (4), 289-294, 2009

    日本第四紀学会

参考文献 (19)*注記

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