屈折初動走時トモグラフィ解析における初期モデルランダム化による解の信頼性評価

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タイトル別名
  • Reliability evaluation by initial model randomization for refraction traveltime tomography
  • クッセツ ショドウソウジ トモグラフィ カイセキ ニ オケル ショキ モデル ランダムカ ニ ヨル カイ ノ シンライセイ ヒョウカ

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抄録

弾性波トモグラフィ解析は地下の物性値を直接推定できる有効な手法であり,稠密長大展開の反射法地震探査データを用いた深部地殻構造探査における統合解析では,広域の速度構造を推定できる屈折初動走時トモグラフィの重要度が高まっている。一方で,逆問題の解として求まる速度モデルの信頼性に対する定量的な評価が必要となる。初期モデル依存性や観測ジオメトリによる偽像など解の空間的な不確実性について,モンテカルロ確度解析を用いて統計的な評価を行なう方法が提唱されている。本稿では,ある条件下でランダムに生成した数百組の初期モデルに対してトモグラフィ解析を実施し,全ての解から平均の速度分布及び標準偏差分布を求めることで解の信頼度を評価するこの方法について,数値シミュレーション及びフィールドデータを用いたケーススタディを実施しその適用性について検討した。断層帯を横断する稠密長大展開のデータに対して500の初期モデルを用いて本解析を実施し,速度構造及び標準偏差分布による誤差範囲を求めた。地質構造によく対応する速度分布が信頼度の指標とともに得られ,さらに,誤差範囲の分布が速度コントラストの大きな境界や断層近傍など地質構造の変化をも反映していることが明らかとなった。この手法はモデル数に応じて計算コストは増大するものの,200~300程度のランダム化をすることでトモグラフィ解析結果に対する信頼度を示すための有効な手段といえる。さらに,チェッカーボードテストを追加して実施することにより分解能に関してもあわせて評価することができる。初期モデルランダム化を伴うトモグラフィにより得られた速度構造とその他の情報は,フルウェーブトモグラフィの初期モデルや反射法データのマイグレーション処理における速度モデル,統合地質解釈における客観的な根拠など有用な情報となる。<br>

収録刊行物

  • 物理探査

    物理探査 63 (4), 345-356, 2010

    社団法人 物理探査学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (32)*注記

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