湖沼堆積物中の燃焼痕跡物として記録された後氷期の人間活動

書誌事項

タイトル別名
  • Postglacial human activity recorded as combustion remains in sediments
  • コショウ タイセキブツ チュウ ノ ネンショウ コンセキブツ ト シテ キロク サレタ コウヒョウキ ノ ニンゲン カツドウ

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抄録

後氷期は,人類の文化・文明が発展するとともに,人が地域環境・地球環境に大きな影響を与えるようになった時代である.人の文化の発展,環境への影響の拡大には,火の利用法の発展が背景にある.湖沼などの堆積物には,こうした火の使用によって生成された微粒子が含まれる.堆積物中の微粒炭は,必ずしも人為的な火を示すものではないが,花粉分析など他の分析結果や歴史的な背景に基づいて,しばしば人為的な火の痕跡として認めることができる.球状炭化粒子は産業活動に伴う化石燃料燃焼によって生成され,19世紀以降の堆積物にのみ含まれる.これらの粒子は単独で,あるいはその他の指標を加味することにより,過去の人類の火の使用を示す.また,燃焼に伴い生成されるこれら微粒子の違いは,火の目的や性質の違いを反映している.これらの微粒子は人類がいつ頃からさまざまなスケールの環境に影響を与えはじめたのか,また人類が環境に影響を与えはじめた時代を地質学的に設定する上で重要な役割を果たすだろう.

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 49 (3), 173-180, 2010

    日本第四紀学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (58)*注記

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