スペクトル法による海陸風数値モデルの構築

書誌事項

タイトル別名
  • A Numerical Model of the Land and Sea Breeze Constructed by Using the Spectral Method

抄録

スペクトル法に基づいて、周期的な熱的境界条件に追随するような、日々変化を含まない周期解を与える海陸風数値モデルが提案される。このスペクトルモデルには渦輸送係数の大気安定度依存性が取り入れられている。繰り返し法により収束解を適切に求めるために、数値計算の過程にいくつかの工夫がなされている。このモデルは平坦地形および海岸線に平行な方向の一様性を仮定しているが、観測されている海陸風の様相を、その場所がモデルにおいて仮定された地形条件を満たす限りよく再現する。このモデルによる数値実験の結果では、海風あるいは陸風の強さは海陸の温度差の一次関数となっている。海陸の温度差を大きくした数値実験の際、海陸の大きさが小さい場合には収束解が得られないことがある。このスペクトルモデルに定常波成分を入れた数値実験では定常的な水平対流と重畳した海陸風の様相が再現される。しかし、定常波成分を入れた数値実験においてはこれを除外した実験の際より、与える地表温度の振幅がはるかに小さい場合にしか収束解は得られない。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 67 (4), 659-676, 1989

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (21)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ