チベット高原のまわりのコールド•サージのケルヴィン波的性質に関する数値的研究

  • 中村 一
    東京大学理学部地球物理学教室 気象庁数値予報課
  • 堂谷 忠靖
    東京大学理学部地球物理学教室 宇宙科学研究所

書誌事項

タイトル別名
  • A Numerical Study on the Coastal Kelvin Wave Features about the Cold Surges around the Tibetan Plateau
  • A numerical study on the coastal Kelvin wave features about the cold surge around the Tibetan Plateau

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説明

Nakamura and Murakami(1983)と Murakami and Nakamura(1983)の数値実験で示されたコールド•サージに伴なうedge状前線の性質を詳しく調べるために,Δx=1°で16層の高分解能のモデルで数値積分を行なった。分解能の増加によりコールド•サージは更に強くなった。楕円型の山の北東端に,温度傾度が15°K/100kmという強い寒冷前線が形成された。20~25m/sの非地衡風的な北風が前線を横切って吹いていた。このedge状前線は山の周囲を時計回りに25m/sという速い速度で伝わっていった。1日後には山の南端に達し,翌日には西端まで達して消滅した。このような特徴から,この山にトラップされたedge状前線はケルヴィン波の性質を持つことが分る。<br>伝播している間は,edge状前線の所では等圧面を横切る風が吹いているが,その後面では風と気圧場の地衡風バランスは大変良い。風速は約20m/sで伝播速度は25m/sであることから,非線形の移流がきいている。<br>さらに浅水波方程式モデルを用いてケルヴィン波の生成の数値実験も行った。これと前の実験の類似性から,ケルヴィン波を作り出す力学機構がコールド•サージにともなう edge状前線を説明するものであることが示めされる。しかし,その横幅のスケールを決めるのには地形性ロスビー波の機構も効いている可能性がある。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 63 (4), 547-563, 1985

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (15)*注記

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