アフリカ熱帯多雨林の土壌水分及び地面アルベドの変化が夏季気候に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of Soil Moisture and Surface Albedo Changes over the African Tropical Rain Forest on Summer Climate
  • MRI•GCM-Iによる数値実験
  • Investigated with the MRI⋅GCM-I

抄録

熱帯多雨林伐採による地表面状態改変が気候に及ぼす影響について大気大循環モデルを用いて調べた。アフリカ大陸上0°~12°N を対象領域とし、そこで土壌保水能力を減少させた実験(W)、地面アルベドを0.30とした実験(A)、それら両方とも変えた実験(AW)をコントロール実験(C)と比較する。実験は5月1日の初期値から4ケ月間積分し、主に6~8月の平均について議論する。<br>土壌水分と地面アルベドの変化は対象領域での気候に対して異なる効果を持つ。W では蒸発散量が減少するが、地表気温の増加、地面からの顕熱フラックス増加による下層大気の加熱を通して水蒸気収束が起こることにより、降水量の減少は抑えられる。A では降水量減少は蒸発散量減少よりも大きい。この場合には上昇流が抑えられて、水蒸気発散となっている。地面のエネルギー収支は地面アルベド増加による太陽放射吸収量の減少と蒸発散量の減少とで主に釣合っており、地表気温はわずかに下がった。AW における応答は近似的に W と A における応答の和で表わせる。<br>AW での局地ハドレー循環は弱くなる。対象領域における非断熱加熱は、C に比べて、対流圏上•中層では降水量減少により冷却、下層では顕熱フラックス増加により加熱となる。サヘル地域では逆に降水量が増加した。AW と C の西アフリカでの東西風の差は、サヘル地域で雨が多い時と少ない時に観測されるものと似ている。対象領域を含む東西断面では、AW において下層偏西風(アフリカ•モンスーン)の強化、アフリカ大陸とインド洋間の東西循環の差が顕著である。<br>全球的応答では東西に一様な偏差があらわれた。又両半球亜熱帯の上層高気圧性循環が強化した。準定常波列がこれに重なり、降水量や気温偏差を伴っている。

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参考文献 (29)*注記

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