中国とモンゴルにおける最近40年間(1951-1990)の地上気温と降水量のトレンドと10年スケールの変動

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タイトル別名
  • Trends and Decadal-Scale Fluctuations of Surface Air Temperature and Precipitation over China and Mongolia during the Recent 40 Year Period (1951-1990)
  • 中国とモンゴルにおける最近40年間(1951-1990)の地上気温と降水量のトレンドと10年スケールの変動〔英文〕
  • チュウゴク ト モンゴル ニ オケル サイキン 40ネンカン 1951 199

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抄録

中国とモンゴルにおける気温と降水量の線形トレンドと10年スケールの変動の時空間構造を、1951年-1990年の5年移動平均した時系列を用いて調べた。主成分分析(EOF解析)の手法を季節平均気温、降水量に適用した。これらの変動に伴う大気循環場の変動を500hPa等圧面高度と地上気圧場の偏差を用いて解析した。また、北半球平均地上気温データとの相関も調べた。主な結果は次のように要約される。年平均気温はモンゴル、中国華北・東北・西北地方で顕著な昇温傾向が見られ、四川省~雲南省(中国西南部)での降温傾向がみられた。この傾向は主に冬季と春季の偏差によっている。冬季の気温のEOF解析の結果、チベット高原を除く対象地域全体で同符号の偏差を表すモードが卓越し(寄与率51.3%)、時系列は10年スケールの周期的変動を示した。このモードは、ユーラシア大陸のシベリア高気圧の強さ、偏西風の強さに密接に関係し、PNAパターンや大西洋の高度偏差とも相関が見られた。一方第2主成分は、対象地域の南北の逆符号の空間パターンを示し、1950年代前半の北(南)部の低(高)温と1980年代の北(南)部の高(低)温をあらわしている。この成分は、寒気がチベット高原の北、東縁を南下するモードに関係し、北太平洋の高度偏差と関連していた。年降水量は、中国の最南部が顕著な増加傾向、華北、華南の減少傾向のほかは、ほとんど有意なトレンドは得られなかった。対象地域で年降水量のほとんどを占める夏季降水量のEOF解析の卓越成分は、夏季気温の主成分と相関が見られた。第1主成分は、モンゴルから華北で正(負)、タクラマカンから華中で負(正)、西南、華南で正(負)という空間分布をしており、スコアは減少傾向が見られた。この成分は、7,6月の寄与が強く、ユーラシア大陸上の循環場の偏差と対応が見られた。一方、第2主成分は、天山山脈の北側と東北、華中で正、タクラマカンと華南で負という複雑な空間パターンを呈したが、時系列は北半球平均気温と密接に関係していた。またこのモードには8,7月の寄与が高かった。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 72 (6), 937-957, 1994

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (20)*注記

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参考文献 (18)*注記

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