北太平洋上のサブミクロンエーロゾルの粒径分布について

書誌事項

タイトル別名
  • On the Size Distribution of Submicron Aerosols in the North Pacific Air

抄録

秋期の南鳥島(24°N,154°E)および小笠原父島(27°N,142°E)において,サブミクロンエーロゾルの粒径分布の観測を行なった。使用した装置は,温度湿度条件が激しく変る野外においても,極低濃度のエーロゾルを高い精度で測定できるよう工夫した2台のポラックカウンターと,4種類の拡散管から成る自動装置である。観測した資料の解析の結果,エーロゾル濃度および粒径分布は,気塊の起源によってはっきりと異なっていることがわかった。日本列島を含む人間活動の盛んな地域からやってくる気塊は,父島では大体2,000個/cc程度,南鳥島では1,000個/cc程度の粒子をそれぞれ含んでおり,粒径分布の形は半径0.02ミクロンから0.07ミクロンの範囲に峯を持つ幅の狭い分布であった。これに対し,中緯度海洋起源の気塊は,この海域のバックグラウンド値に相当する250個/cc程度の粒子を含み,その粒径分布は半径0.02ミクロンに峯を持つむしろ幅の広い分布を示した。<br>今回の観測結果は,人間活動地域から汚染が広がってきてバックグラウンド大気の中に拡散する末端地域での様子を伝えるものである。運ばれてきた汚染粒子はほとんど全て,自然の雲核と同程度の粒径を持つものであるため,人工汚染が中緯度海洋性気団の雲核のバックグラウンドに影響を与える可能性のあることを示すものである。

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参考文献 (10)*注記

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