回転水槽中の定常傾圧波動におけるカオス的ラグランジュ運動と熱輸送

書誌事項

タイトル別名
  • Chaotic Lagrangian Motion and Heat Transport in a Steady, Baroclinic Annulus Wave
  • 回転水槽中の定常傾圧波動におけるカオス的ラグランジュ運動と熱輸送〔英文〕
  • カイテン スイソウチュウ ノ テイジョウ ケイアツ ハドウ ニ オケル カオス

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抄録

回転水槽中の定常傾圧波動におけるラグランジュ運動を、トレーサー粒子の軌跡を数値的に長時間追跡することにより調べた。定常波動の規則的な流れ場においても、軌跡はカオス的な性質を示す。これは「ラグランジュ的乱流」の一例である。しかし、カオス的な軌跡も、その位置に応じて幾つかの組織化された構造を示す。この構造により、粒子の通過した領域は、上・下層ジェット、高・低気圧性トラップ領域、そして内・外・下側の境界層の7つに分けられる。また、粒子が一度も入り込まない孤立領域が、低気圧性トラップ領域の内側や高気圧性トラップ領域を取り巻く位置に存在する。粒子の領域間遷移の長時間にわたる統計により、外側境界層→上層ジェット→内側境界層→下層ジェットまたは下側境界層→外側境界層、の周期的ルートが頻出することが分かった。この周期的ルートと比べて、両トラップ領域に滞在する頻度はかなり少ないが、その滞在時間は長い。<br>定常波動中の熱輸送をラグランジュ的に見ると、外側境界層で粒子は大量の熱を獲得し、内側境界層でそれを放出している。内部領域では粒子の温度はほとんど変化せず、ジェットの蛇行一回毎の内向き熱輸送は小さい。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 72 (4), 569-587, 1994

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (24)*注記

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