ユーラシアパターンの変動と活動度フラックスを用いた解釈

  • 大橋 康昭
    北海道大学大学院地球環境科学研究科
  • 山崎 孝治
    北海道大学大学院地球環境科学研究科 兼所属:地球フロンティア研究システム

書誌事項

タイトル別名
  • Variability of the Eurasian Pattern and Its Interpretation by Wave Activity Flux

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抄録

テレコネクションパターンの一つであるユーラシア(EU)パターンについて、近年の変動と定常波の活動度フラックスとの関係について解析を行った。その結果、1988/89年の冬季を境に、極渦の強化と同時にEUインデックスの符号が正から負に逆転していることがわかった。EUパターンのメカニズムについて詳細に調べるのために、定常波の活動度フラックスを計算した。EUインデックスが正のときは、ロスビー波がヨーロッパから東アジアにかけて直接伝播しているのに対して、EUインデックスが負のときは、ヨーロッパから中東へ南東に伝播していることがわかった。<br>そこで、ユーラシア大陸上のロスビー波の変動について明らかにするために、活動度フラックスに対してEOF解析を行った。その結果、EUパターンと関連した2つの卓越モードが検出された。第1モードは極域高度場の変動と結び付いた1988/89年冬季の大気場のシフトに関連していた。第2モードはNAOやPNAといった他のテレコネクションパターンと関連したモードであった。<br>卓越モードの出現について、wave forcingによる帯状風の変化とロスビー波の子午線方向への伝播特性を調べることによって解釈された。その結果、第1モードの波数3成分が帯状風の変化に重要な役割を果たしていることがわかった。また、子午線方向の帯状風プロファイルは活動度フラックスの構造と一致していた。このEUパターンに関連した活動度フラックスと帯状風との間に見られる正のフィードバックが、第1モードが卓越する要因となっていることがわかった。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 77 (2), 495-511, 1999

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (40)*注記

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