北大西洋域における夏季の天候レジーム

  • 向川 均
    北海道大学大学院地球環境科学研究科
  • 佐藤 均
    北海道大学大学院地球環境科学研究科 現所属:釧路地方気象台

書誌事項

タイトル別名
  • Multiple Weather Regimes in the Summertime North Atlantic Circulation

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抄録

現実大気における天候レジームの力学に関する我々の理解を深めるため、1951年から1994年までの44年分の日々の700hPa等圧面高度場データを用い、北大西洋域における夏季の天候レジームについて解析を行った。高度場の変動成分での主要な3つの経験的直交関数(EOF)で張られる位相空間における存在確率密度関数(PDF)の非一様性にもとづき、天候レジームを定義した。<br>その結果、多変数ガウス分布と比べ、統計的に有意に大きなPDFの値を持つ領域として、5つの天候レジームを抽出することに成功した。これらの天候レジームには、北大西洋振動パターン(NAO)の2つの位相に相当する循環パターンを持つものや、北大西洋域でのジェット気流が強化されるパターンを持つものが含まれる。<br>さらに、夏季における天候レジームのさまざまな特徴について、冬季の天候レジームと比較しながら記述した。その結果、夏季の天候レジームの循環パターンは冬季のそれとよく類似していることが示される。これは、夏季の天候レジームは季節変化の影響を受けにくいことを示唆している。また、簡単な大気モデルで示されている天候レジームの分岐特性との関連において、夏季の天候レジームの持続性や、遷移特性について議論する。最後に、天候レジームの出現頻度の年々変動についても言及する。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 77 (2), 483-494, 1999

    公益社団法人 日本気象学会

参考文献 (54)*注記

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