ウェットエンド化学の基礎と実践

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タイトル別名
  • Basic and Application of Wet End Chemistry
  • ウェットエンド カガク ノ キソ ト ジッセン

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抄録

抄紙工程における「ウェットエンド」とは,ヘッドボックスから出た紙料が乾燥工程に入る前までの湿紙の状態にあるパートである。「ウェットエンド」では最終製品である紙に強度,サイズ度,厚さ,水分,坪量,地合いといった品質特性の最適化と付与を行うとともに,紙料の歩留り,ろ水性,系内汚れなど抄紙効率に影響する要素の安定化・最適化を行う。品質付与および抄紙工程の安定化・最適化のためには,ヘッドボックス前の調成工程で製紙用薬品を添加する。「ウェットエンド化学」とは 製紙用薬品と紙料の相互作用と,発現する品質とリテンション,ろ水,地合いといった現象との関係を明らかにする化学といえる。<BR>近年の製紙産業における傾向は,利用古紙の拡大,コートブロークの配合量増加,高速抄紙化,用水のクローズド化が進み,抄紙系内には薬品の定着,機能の発現を阻害する物質の蓄積が進む。元来,抄紙原料中には,大きさの異なる有機・無機の可溶・不溶成分が混在する複雑系である。そのため,「ウェットエンド化学」において現象の因果関係を全て明らかにすることは,近年の傾向とあいまって非常に困難なものとなっている。<BR>本報ではウェットエンド化学の基礎と実践と題し,基本的な薬品について解説と実際の抄紙機で生じている問題を対処するにあたっての製紙用薬品の評価として,凝結剤とリテンションエイドの評価事例について紹介する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 62 (11), 1360-1367, 2008

    紙パルプ技術協会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (36)*注記

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