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- 福島 教雄
- オムロン株式会社 綾部工場 生産管理部 生産革新課
書誌事項
- タイトル別名
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- Factory Diagnostics and Optimization
- コウジョウ ノ 「 ミエル カ 」 ト 「 サイテキ カ 」 ECO カツドウ
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抄録
オムロン綾部工場では,1996年にISO14001を認証取得後,継続し環境負荷低減活動を進めてきたが。これまでの活動における省エネ対象は,「空調」の更新,設定温度見直しや「照明」の消灯,間引き,「コンプレッサの集中化と台数制御」といった施設管理部署(ファシリティー)が担当する「共通的に使用するエネルギー」を中心にしたものであり,生産プロセスの省エネには取組めていなかった。<BR>その大きな理由は,工場では「品質」,「生産性」が最優先課題であるため,「生産プロセスでの省エネは,品質,生産性への悪影響があるかも」という不安感から,後回し,もしくは取組めない「聖域化」となっていたなどの理由があげられる。<BR>しかし2006年ごろには施設管理部署中心の省エネだけでは「手詰まり感」が出始めてきていた。<BR>そこで,2010年10月より,綾ECOファクトリープロジェクトを立ち上げ,“業界No.1のECOファクトリー”を目指し,これまで取組が困難とされてきた生産プロセスの省エネに取組はじめた。<BR>生産プロセスの省エネ活動においては「品質」「生産性」に配慮しなくてはいけないため,電力は当然のこと,生産現場の詳細な変化をつかむ必要があると考え,生産現場視点の「電力と環境の診える化システム“環境あんどん”」を開発し活用しはじめた。すると,これまで気付けていなかった電力の消費傾向や,生産現場の様々な「ゆらぎ」をとらえ,そこから新しい「気付き」を得ることができた。またその「気付き」をきっかけに,現場のメンバーとのコミュニケーションを加速することで,これまで「必要なエネルギー」として消費されていた生産プロセスでのエネルギーも,実際は「ムダ」「余裕」が含まれており,改善できることがたくさんあることがわかってきた。<BR>更に生産プロセスの省エネに取組むことで,「手詰まり状態」であったはずの施設系の省エネにもつながる取組になってきた。<BR>これまでの活動の成果としては,対象としたクリーンルームでの生産における,電力消費を50%削減する一方,浮遊するほこりの量を1/3に減らす等の「生産性や品質の向上と電力消費の削減を両立する省エネ改善事例」を,2013年度末時点で50件創出し,工場で使用する生産電力を2010年度比で26.3%削減した。<BR>『診える化』をきっかけに,工場の全ての方が省エネ改善活動に参加することで,現場での省エネが品質や生産性の維持向上にも繋がる『最適化』ECO活動になることを実証してみせた。
収録刊行物
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- 紙パ技協誌
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紙パ技協誌 68 (7), 717-725, 2014
紙パルプ技術協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001206519333248
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- NII論文ID
- 130004695738
- 40020141059
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- NII書誌ID
- AN00379952
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- ISSN
- 18811000
- 0022815X
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- NDL書誌ID
- 025618095
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可