繊維配向制御の導入事例

  • 齋藤 史彦
    日本製紙株式会社 石巻工場 工務部 電装課

書誌事項

タイトル別名
  • Introduction of Automatic Control System for Fiber Orientation
  • センイハイコウ セイギョ ノ ドウニュウ ジレイ

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抄録

2011年3月11日 東日本大震災に伴う巨大津波の襲来により壊滅的な被害を受けた当工場では,震災復興工事の中で7マシンをコート原紙マシンからPPC用紙専抄マシンへの改造工事を実施した。<BR>PPC用紙は円高を背景に輸入紙のシェアが拡大,競争が激しい市場であり,低コスト化は元より品質面での差別化が重要である。またPPC用紙はその用途よりコピー適性が求められ,その中でも特に重要なカール品質の管理には繊維配向をコントロールすることが重要である。<BR>そこで,QCSへ繊維配向計を搭載し,弊社では2例目となる繊維配向制御を導入した。本稿ではそのテスト経緯と繊維配向制御の有効性について紹介する。<BR>繊維配向制御は,スライスリップのゾーン単位での開度調整とエッジフローノズルの流量調整により,繊維配向の幅方向制御を行う。同時にスライスリップ開度の増減に対し,坪量の幅方向制御と干渉しないよう坪量補正することで,スライスリップの開度がある程度調整済みの状態からの抄出であれば,わずか数分で繊維配向角プロファイルが基準内に収束する。<BR>長期使用における配向計の測定窓への紙粉堆積など今後改善すべき課題は残されているものの,カール品質の強化,低コスト化に直結する極めて有効な手段である。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 67 (3), 245-251, 2013

    紙パルプ技術協会

参考文献 (2)*注記

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