クラフトパルプ製造設備の改造効果と操業経験

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タイトル別名
  • Remodeling Effects and Operating Experience of Kraft Pulp Production
  • クラフトパルプ セイゾウ セツビ ノ カイゾウ コウカ ト ソウギョウ ケイケン

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抄録

<p>三島工場のクラフトパルプ製造設備では,抄紙機の増設・増産に対応するために増産改造を繰り返し行ってきたが,その都度不足する設備を追加する改造方法で,機器台数やパルプ移送距離の増加等によるエネルギーの増加を伴ってきた。直近では,リーマンショック以降の生産構造の変化に伴い,2011年にNKP2系列を蒸解釜,酸素脱リグニン設備と漂白設備からなる1系列に集約,LKP系列は2012~2013年に機器大型化や設備間の機器配置見直しによる省エネルギーを伴う抜本的な増産改造を行ってきた。今回さらに生産品種のシフトによるパルプ使用量増加に対応するため,遊休機器を最大限に利用して設備投資額を抑えた増産改造を行った。</p><p>改造のコンセプトは次のとおりである。</p><p>1)遊休設備の活用による機器大型化</p><p>2)蒸解方法改良による連釜操業性改善</p><p>3)洗浄/精選設備増強による薬品低減</p><p>4)熱回収フロー変更による省エネルギー</p><p>蒸解工程は、釜内濃度・温度を安定させる蒸解法への改善を目的にValmet社のCompact Cooking G1TMへの改良を行った。さらに精選工程の増強、および漂白工程の改造を行った。</p><p>立ち上げ当初は連釜の操業が安定しないことに起因する品質の変動や薬品原単位の悪化等が見られたが,白液の分散添加比率の調整や液比の見直し等,操業安定に取組むことで早期に運転のやり方を掴んだ。その結果,計画以上の成果を達成することができ,日産650t/日から1,000t/日までの増産を図り,国内で最も高い生産能力を有するNKP系列とした。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 71 (1), 51-55, 2017

    紙パルプ技術協会

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