画期的な特性を有する新規ピッチコントロール剤

書誌事項

タイトル別名
  • New Pitch Control Agent Having a Breakthrough Characteristics
  • カッキテキ ナ トクセイ オ ユウスル シンキ ピッチコントロールザイ

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抄録

<p>近年,環境保護等の観点から古紙使用率は世界的に上昇している。それに伴い低級古紙の使用量が年々増加し,製品紙質の低下や用具の汚れなど総合的な生産性の低下を引き起こす原因の一つとなっている。有機疎水性粘着物質はこれらトラブルを引き起こす主要因であり,スクリーンやフローテーションなどによる機械的・物理的な除去や薬剤による不活性化などの対策が取られている。我々は,有機疎水性粘着物質(以下「ピッチ」と称する)を化学処理により脱粘着化し,それを微細な状態で問題なくセルロース原料へ付着させ系外へ排出し得る新たな薬剤を開発した。</p><p>ピッチに対する薬剤には,分散型,溶解型,脱粘着化型,凝結型,酵素型など様々な作用を有したものがある。しかし,これらの薬剤では閉鎖的環境下においてピッチの系外排出はされず,ピッチと薬剤濃度が上昇し続けるという課題が残る。最近,解決案の一つとして使用されつつあるのが分散型,溶解型,脱粘着型および酵素型薬剤と凝結型薬剤とを併用したピッチコントロールシステムであるが,2液以上を扱うため適切な使用量の調整などが難しい場合もある。今回開発したピッチコントロール剤「ミラクルピチコン®777」は,1液で分散・脱粘着の作用と凝結作用を有しているため,ピッチトラブルを生じさせずにピッチをセルロース原料と共に系外へ排出できる。そのため,閉鎖的環境下での系内のピッチ濃度を低減させることが可能となり,ピッチによる製品紙質の低下や用具の汚れなどの解決に大きく寄与することが期待される。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 71 (2), 129-132, 2017

    紙パルプ技術協会

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