第5報ジメチル・アニリンの存在にて過酸化ベンゾイルおよび置換過酸化べンゾイルの分解について

  • 井本 稔
    大阪市立大学理工学部高分子化学教室
  • 崔 錫権
    大阪市立大学理工学部高分子化学教室

Description

ベンゼンを溶媒として, ジメチルアニリンの存在下に, 過酸化ベンゾイル (またはその置換化合物)の分解の初速度 (-dP/dt) toをはかると, それはvo=k2PoAoで示される。Pは過酸化物の濃度Aはアミンの濃度である。また置換過酸化物ではvoはハメットの式によく一致する。ただしジメチルアニリンの存在しないときに比較すると, その傾向はまったく逆になる. 以上より, ジメチルアニリンの存在時における過酸化ベンゾイルの分解の機構を論ずる。<BR>過酸化ヒベンゾイル (以下Bz2O2と略する)および置換したBz2O2の分解に関する研究は多い. とくにNozaki, BartlettおよびSwain, Stockmayer, ClarkeはBz2O2の分解速度が次式で示されるとした。<BR>ただしPはBz2O2の濃度, k1は自己分解の速度恒数, kiは誘導分解の速度恒数. fltx は0. 5~2.0である。本報はジメチルアニリンの存在における分解速度をもとめようとするもである。<BR>過酸化ベンゾイルを触媒とする重合反應でジメチルアニリン (以下DMAと記す) を共存させると, 重合速度がはげしく大となるが, これは工業的にはすでに大きい意味をもつに到っている. すなわちポリエステル樹脂の成型硬化ではこの反應を利用する. われわれはこの方面の研究をすでに行ってきた。ついでに記せば, 天然ゴム溶液粘度の降下をもDMAは助触媒としてはげしく行うことを, 先に見つけた。<BR>もっとも, DMAの存在でBz2O2の分解速度を追跡した文献はまだ見あたらない, ただ, その反應機構についてはHomer等のくわしい研究がある。それによるとBz2O2はDMAと反應して分解を行う。すなわち次式のごとくである。

Journal

  • Kobunshi Kagaku

    Kobunshi Kagaku 11 (113), 396-408, 1954

    The Society of Polymer Science, Japan

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001206520373120
  • NII Article ID
    130004031736
  • DOI
    10.1295/koron1944.11.396
  • ISSN
    18848079
    00232556
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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