請負作業の見える化

  • 久保田 誠
    日本ビジネス革新コンサルティング株式会社―JBIC―

書誌事項

タイトル別名
  • Visualization of Contract Work
  • ウケオイ サギョウ ノ ミエル カ

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抄録

<p>現在,人件費の抑制や業務量の変動に応じた労働量の調整等のため,請負作業は多くの製造現場で欠かせない存在となっている。しかしながら,請負契約規制などの難しさから,適正な請負管理ができておらず,コストアップしてしまっている例も多い。このような事態を改善していくためには,請負管理を“見える化”し,あるべき姿を構築していくことが重要である。</p><p></p><p>ここでは,あるべき姿を構築するステップと,そのために必要な実態調査の手法や考え方を紹介する。</p><p>あるべき姿を構築するステップは,以下である。</p><p>1)請負作業の実態調査と問題点発掘</p><p>2)重点課題の構想</p><p>3)課題改善計画の作成</p><p>4)課題改善計画の実行</p><p>この中で,始めに重要となるのは実態調査であり,実態調査により現状を把握できれば,問題点の抽出,あるべき姿の構築,適正な請負価格の設定を行うことができる。そのステップは以下となる。</p><p>①作業内容の把握</p><p>②作業範囲の明確化</p><p>③作業時間の調査</p><p>④作業難易性の調査</p><p>⑤あるべき作業の構築・作業時間の削減</p><p>⑥料率・固定費の算出</p><p></p><p>実態調査は,はじめに作業内容の把握や作業範囲の明確化が必要である。これは,実際の作業観測時に観測範囲を明確にするためである。次は明確になった対象の作業時間を現場の問題点をとらえながら計測することである。更に作業の難易性を技術熟練度や肉体・精神的疲労度で点数化してランク分けし,その合計点で作業難易性を決める。以上の調査から得られた結果と問題点を基に,あるべき作業の構築と作業時間の削減を行い,適正な請負価格を算出していくのである。</p><p>今回は,あるべき姿を構築するステップとして,重点課題の構想化までの紹介であり,改善計画の作成や改善計画の実行は省略している。しかし,課題が明確になれば,改善計画は立てやすく,実行もやりやすくなるであろう。</p><p>請負作業の支出が大きく,その根拠も曖昧になっているという企業の方は,まずは“見える化”を実践していただければと思う。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 71 (8), 880-886, 2017

    紙パルプ技術協会

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