X線回折法とX線マイクロアナライザを用いた紙中の石英含有量の分析

  • 武井 俊達
    王子ホールディングス株式会社 分析センター
  • 立花 和幸
    王子ホールディングス株式会社 分析センター
  • 八重田 徹
    王子ホールディングス株式会社 分析センター
  • 清水 文彦
    王子ホールディングス株式会社 分析センター

書誌事項

タイトル別名
  • Xセン カイセツホウ ト Xセン マイクロアナライザ オ モチイタ カミ チュウ ノ セキエイ ガンユウリョウ ノ ブンセキ

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抄録

近年,オフセット印刷の需要の増大に伴い様々なニーズに応じた印刷物が製品化されている。紙品質が印刷に適しているか否かは紙の製造において極めて重要なポイントである。オフセット印刷の重要トラブルである版磨耗は,用紙の填料,顔料,インキ顔料粒子などによって印刷用の版表面が磨耗され,版画線部へのインキ付着が悪化し,印刷物の画線部が希薄化し白抜け状態になる現象である。しかし,版磨耗時の上記物質の付着質量は極微量であり,一般的な測定方法(以下,集中法と呼ぶ)のX線回折法だけでは十分なX線強度が得られなかった。そこで,X線回折法の比較的新しい手法である平行X線光学系X線回折法を用いることにした。この方法は多層膜結晶によって平行ビーム化されたX線を効率的に入射するもので,集中法と比較し,約10~20倍のX線強度が得られた。<br>版磨耗原因の特定とその定量法を確立するにあたり,まず予備試験を行った結果,原因は石英(SiO2)の可能性が示唆された。前処理の検討を行い,微量分析が可能な方法を確立した。加えて,X線マイクロアナライザ(XMA),学振式摩擦試験を適用することにより,版磨耗の原因がタルクに極微量含まれている石英であることを見出した。そして,今まで検出が困難であったタルク中の石英含有量をこれらの方法を用いて0.1wt%まで定量が可能になった。<br>本報ではX線回折法およびXMAにより,タルク中の石英含有量の高感度かつ迅速なスクリーニング法が確立できたので紹介する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 69 (11), 1245-1250, 2015

    紙パルプ技術協会

参考文献 (4)*注記

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